政治家の「地元活動」にカネがかかる実態

 自民党派閥の裏金事件を受け、政治資金の規制強化の議論が本格化している。しかし、問題の根本は、多額のカネがかかる政治活動にあるとされる。特に出費がかさむのが選挙対策。有権者にはびこる悪弊と議員心理から、「会費」がふくらむ実態があるという。(千葉卓朗、松井望美)

 「年次総会へのご招待」。毎年、年末年始の時期になると、こんな招待状が、多数の業界団体から国会議員の事務所に届く。東京選出の自民議員の元秘書は「議員が出席する団体の会合は、この時期1カ月だけで400件を超える」と話す。

 業界団体の会合では「1人3千~4千円相当」の飲食物が用意されているケースが多いという。招待状の多くは金額の記載がないが、議員側は「会費1万円」を支払うのが相場だ。そのため、年末年始だけで会費の総額は数百万円に膨れ上がる。

「けち」の風評恐れ断れず 会合は1万円が「相場」

 なぜ「1万円」なのか。元秘書は「団体の会員は毎月数千円、万円単位の年会費を支払っている。それが会合の原資なのだから、議員も年会費に相当する額として1万円を支払っている」と説明。同じ選挙区内の他党の議員も、1万円を払って会合に参加していたという。

 議員側の本音は「もっと会費を安くしたい」。でも、前年より支払う会費を減らせば、「けちになった」と風評が広がり、選挙での悪影響になりかねない。元秘書は「有権者に嫌われるのが怖いから、毎年同額の会費を払っている」と話す。

 こうした地元での「つきあい」の実態を明かしたのが、自民党安倍派の西田昌司参院議員だ。

 3月14日の参院政治倫理審査会で、自身の政治団体から、公開基準の緩いその他の政治団体に資金を移動し、その使途が不透明ではないかと問われた。その際、「私は京都府下全域を選挙区としてますから、いろんなところに会合に行き、時には懇親会がある」と説明。秘書が自分の代わりに出席する際にも、カネを持って行くとしたうえで、「会費1万円なら、会合が毎日1件でも約360万円になる。会合が1日複数回あるのはざらで、年500万~600万円の支出は経常的に出る」と説明した。

 有権者側が議員側に金品を要求するケースも少なくない。東京選出の野党議員は数年前、地元の祭りにカネも酒も持たずに参加した。すると、主催者側の住民から「何も持ってこなかったのか」とどやされた。

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